障害者グループホームの利用を考えているけれど、入居したら、毎日どのように過ごすのだろう?と不安を感じている人もいるのでは……。
グループホームに入居したものの、どうも自分が想像した生活とは違った!などというケースも実際にあります。
そこでこの記事では、まずグループホームの基本情報を説明します。その後、グループホームの生活が分かるように一日の流れを詳しく解説!平日と休日に分けて一日のスケジュールを提示するなど、時間軸に沿ってグループホームの暮らしを見ていきます。
終わりの方には、グループホームの入居条件や入居までのステップ、Q&Aなど、お役立ち情報も掲載しました。
この記事を読めば、グループホームの暮らしの全体像がはっきりつかめます!
読み終えた頃には、ホームで暮らす自分の姿をしっかり思い描けるようになるでしょう。
この記事を読んで、障害者グループホームの基本情報や暮らしをよく知って、あなたの希望するグループホームへの入居を実現してください!
―目次―
1.障害者グループホームの基本情報
1-1.障害者グループホームとは
1-2.障害者グループホームの種類とサービス内容
1-3.障害者グループホームのスタッフ
1-4.障害者グループホームの生活ルール
2.障害者グループホームの一日の流れ
2-1.一日の流れ (平日の例)
2-2.平日の解説
2-3.一日の流れ (休日の例)
2-4.休日の解説
3.障害者グループホームの入居条件をチェック
4.障害者グループホームの入居へのステップ
4-1.【ステップ1】障害者手帳を申請します
4-2.【ステップ2】障害福祉サービスの支給を申請します
4-3.【ステップ3】障害者グループホームを探します
4-4.【ステップ4】「サービス等利用計画(本計画)」を市区町村に提出します
4-5.【ステップ5】グループホームと契約します
5.障害者グループホームのQ&A
6.まとめ
1.障害者グループホームの基本情報
1-1.障害者グループホームとは
障害者グループホームは、障害のある方が地域住民と交流を持ち、家庭的な雰囲気の中で、日常生活上の援助や必要な介護を利用しながら共同生活を送るところです。
障害のある人が親元を離れて、同じように障害を持つ仲間と暮らします。ホームでは世話人などのスタッフから、生活や健康面の援助を受けながら自立を目指します。
※障害者グループホームは、制度上では共同生活援助といいます。
1-2.障害者グループホームの種類とサービス内容
障害者グループホームは、提供するサービス内容により4つの種類に分けられます。
①日中サービス支援型……
夜間や休日だけでなく、24時間体制で相談および日常生活上の援助、入浴・排せつ・食事などの介護を行います。重度の障害がある方を対象とするグループホームです。
②介護サービス包括型……
主に夜間や休日において、相談および日常生活上の援助、入浴・排せつ・食事などの介護を行います。日中、入居者は仕事に出かけたり、就労支援の事業所やデイサービスを利用したりします。
③外部サービス利用型……
主に夜間や休日において、相談や日常生活上の援助のみを行い、入浴などの介護サービスは外部の居宅介護事業者に委託するグループホームです。比較的軽い障害のある方が多く入居しています。
④サテライト型……
一人で暮らしたいというニーズに対応するグループホームです。
サテライト型では、民間のアパートなどで生活しながら、余暇活動や食事などは別にある本体住居を利用します。本体住居のスタッフが一日数回、入居者の様子を見守ります。
一人暮らしに近い状態を経験することで、一般住宅への移行が容易になります。
※入居者の利用期限は原則3年です。
1-3.障害者グループホームのスタッフ
障害者グループホームには「サービス管理責任者(サビ管)」「管理者(施設長)」「世話人」「生活支援員」の4つの専門スタッフがいて、利用者一人ひとりを支えます。
■サービス管理責任者(サビ管)……支援計画・管理とサービスの質向上を行います。
具体的には、
・利用者一人ひとりの支援計画の策定とその管理業務
・グループホーム内外の関係者、関係機関との連携
・各職員の教育指導、助言
など、グループホームの支援内容やサービスの質向上を担います。
■管理者(施設長)……施設運営におけるさまざまな管理業務を行います。
具体的には、
・サービスの品質管理
・人事、労務管理
・収支、備品管理
など、業務全体の管理を担います。
■世話人……入居者の身の回りの世話をします。
具体的には、
・掃除、洗濯、食事などの家事
・金銭、健康、服薬管理
・生活上の相談対応
など、入居者の日常生活上のサポートをします。
■生活支援員……介助をともなう入居者のサポートを行います。
具体的には、
・入浴や排せつ、食事の介助など、生活全般のサポート
・生活上の相談対応
など、世話人が家事や金銭管理などの生活に関わるサポートをするのに対して、生活支援員は食事や入浴、排せつなどの介助をともなうサポートをします。
1-4.障害者グループホームの生活ルール
障害者グループホームは他の入居者との共同生活です。お互いに気持ちよく暮らしていくため、グループホームには生活上のルールがあります。ルールはグループホームごとに決められていて、ルールを作る際は入居者同士の話し合いが行われることもあります。
以下は生活ルールの項目の例です。
■共有部分のルール
・風呂や洗濯機の利用時間と順番
■掃除のルール
・風呂、トイレ、各居室の取り決め
・ゴミの捨て方
■食事のルール
・朝食の時間 (例:6時から8時)
・夕食の時間 (例:18時から20時)
・冷蔵庫の使い方
・台所の使い方
■門限と外出・外泊のルール
・門限の時間 (例:22時)
・外出、外泊時はスタッフに行き先を伝える
■居室のルール
・テレビなどの音量に気をつける
・許可なく他の入居者の部屋に入らない
2.障害者グループホームの一日の流れ
障害者グループホームには一日の流れがあり、生活や仕事のスケジュールが組まれています。入居者は、朝・昼・夕・夜と、それぞれの時間枠にある日課をこなしていきます。
それでは、グループホーム(介護サービス包括型)の一日の流れを見ていきましょう。
2-1.一日の流れ(平日の例)
6時~7時:起床・身支度
7時~8時:朝食
8時~9時:通所・通勤の準備・出発
【昼】
9時~16時:日中活動 (就労支援・デイサービスなど)
※ホームに残る場合はスタッフによる日中支援を利用
【夕】
16時:帰宅
16時~18時:入浴・洗濯・掃除
18時~19時:夕食
【夜】
19時~22時:自由時間
22時:消灯・就寝
※食事の時間や消灯時間などは、グループホームにより異なる場合があります。
2-2.平日の解説
6時に起床。洗面・歯磨きをすませ、健康状態の確認をしてから、食堂で他の入居者と一緒に朝食をとります。薬が必要な人は服薬をし、日中活動に向けて身支度します。
9時には施設の送迎バスなどでそれぞれの勤務先へ出発です。
※自力で通勤できる方は、徒歩や公共交通機関を利用します。
【昼の時間帯】
各勤務地に到着後、作業や訓練、業務に取りかかります。
日中活動先としては、就労継続支援(A型・B型)、就労移行支援、デイサービス、デイケアなどがあります。一般企業の障害者雇用枠で働く方もいます。
※昼間、グループホームに留まる場合は、スタッフが日中支援を行います。
【夕の時間帯】
16時にグループホームへ帰宅。
風呂や洗濯機は共同で使用するため、順番を待って入浴したり洗濯したりします。部屋を掃除するのもこの時間帯です。
18時には食堂に集まり夕食をとります。
※風呂や洗濯の順番が夕食後になる場合もあります。
【夜の時間帯】
夕食後、22時の消灯まで自由時間。
リビングでテレビを見たり居室で本を読んだりと、ゆっくり過ごせる時間です。
※この時間帯にスタッフと相談する方もいます。
2-3.一日の流れ(休日の例)
【朝】
6時~7時:起床・身支度
7時~8時:朝食
8時~9時:一日の活動に向けての準備・出発
【昼】
9時~16時:自由時間(買い物・映画鑑賞・散歩など)
※ホームに残って休日をのんびり過ごすこともできます。
【夕】
16時:帰宅
16時~18時:入浴・洗濯・掃除
18時~19時:夕食
【夜】
19時~22時:自由時間
22時:消灯・就寝
2-4.休日の解説
休日は9時から16時まで自由時間です。居室やリビングで過ごしたり、買い物に出かけたりと自由に過ごせます。
レクリエーションとして、入居者全員で近くの公園へ出かけることもあります。施設の行事イベントとしてお花見をすることも。
グループホームに残って、テレビを見たりゲームを楽しんだりする方もいます。洗濯物や部屋の掃除、片づけをする人もいます。
3.障害者グループホームの入居条件をチェック
障害者グループホームの利用を検討する際、まずは入居条件をチェックしておくことが大切です。以下の条件を確認しましょう。
【入居条件①】障害者グループホームを利用できるのは、障害者総合支援法が定める「障害者」に該当する以下の人たちです。
・身体障害者
・知的障害者
・精神障害者(発達障害者を含む)
・難病患者
【入居条件②】グループホームの利用には、「身体障害者手帳」「精神障害者保健福祉手帳」「療育手帳」のいずれかの所持が必要です
【入居条件③】グループホームを利用できる年齢は、原則18歳以上です。
※グループホームは、児童相談所長の判断により必要性が認められれば、15歳以上18歳未満での利用も可能です。
【入居条件④】身体障害者は65歳未満の方、または65歳に達する日の前日までに障害福祉サービスを利用したことがある方も利用対象者に含まれます。
【入居条件⑤】障害者グループホームは、障害支援区分の認定を受けていれば、障害支援区分1~6まですべての人が利用できます。
※支援体制の違いから、グループホームによっては、対象となる障害や障害支援区分が決められている場合があるため、事前にホームへの確認が必要です。
4.障害者グループホームの入居へのステップ
障害者グループホームへの入居に向けて、ステップを踏みながら必要条件をしっかり満たしていきましょう。障害者手帳を取得し、障害支援区分の認定を受け、障害福祉サービス受給者証を入手します。そして希望するグループホームを探します。
4-1.【ステップ1】障害者手帳を申請します
障害者グループホームを利用するには、障害者手帳(身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳)が必要です。障害者手帳のない人は、市区町村の障害福祉担当窓口で申請しましょう。
4-2.【ステップ2】障害福祉サービスの支給を申請します
以下、申請手続きの流れです。
①市区町村(または相談支援事業所)でサービス利用について相談します。
②市区町村の障害福祉担当窓口へ支給申請します。
③調査員による認定調査が行われます。
④市区町村が障害支援区分の認定を行います。
⑤市区町村から「区分認定通知」が届きます。
⑥「サービス等利用計画案」を相談支援事業所で作成し、市区町村に提出します。
⑦計画案が承認されると「障害福祉サービス受給者証」が交付され、障害福祉サービス(グループホームなど)の支給が決定します。
4-3.【ステップ3】障害者グループホームを探します
①市区町村の障害福祉担当窓口や相談支援事業所を訪ねて相談し、グループホームの情報を入手しましょう。
②「障害者グループホーム検索サイト」や「WAMNET(ワムネット)」を使って、グループホームの情報を検索しましょう。
③候補のグループホームを見学してみましょう。体験入居を希望する場合は、事前に施設と相談しましょう。
④希望するグループホームが見つかったら、施設側と面談を行った後、入居が決まります。
4-4.【ステップ4】「サービス等利用計画(本計画)」を市区町村に提出します
相談支援専門委員が「サービス担当者会議」を開いた後「サービス等利用計画(本計画)」を作成し、利用計画を市区町村の窓口に提出します。
4-5.【ステップ5】グループホームと契約します
入居希望者が施設と直接契約します。契約の際、利用規約をよく読みましょう。
5.障害者グループホームのQ&A
【Q】必要な費用には何があるの?
【A】グループホームの利用にかかる費用は以下のとおりです。
・障害福祉サービスの利用料
・家賃
・食費
・水道光熱費
・日用品費
・その他の日常生活費
障害者グループホームは、障害者総合支援法によるサービスのため「障害福祉サービス利用料」が必要となります。サービス利用料は全額負担ではなく、原則1割の負担です。
基本的に家賃は一般住宅より低く設定されている場合が多いです。
【Q】家賃補助にはどんなものがあるの?
【A】障害者グループホームの入居者に対する助成は二つあります。
一つは、生活保護や低所得の世帯に限られますが、家賃を一部補助する「特定障害者特別給付」です。月額1万円を上限に助成されます。
一つは、市区町村が独自に障害者グループホームの家賃補助を設けている場合があります。入居の際は、市区町村の担当窓口に確認しましょう。
【Q】入居期限はあるの?
【A】障害者グループホームには、基本的に入居期限はありません。
ただし、一部のグループホームでは期限が定められていたり、更新料が必要になったりする場合があります。
また、精神障害者が主な利用者となるグループホームの場合は、自治体によっては、入居期限がない「滞在型」と、入居期限を原則3年とする「通過型」の2種類を設定している場合があります。
6.まとめ
この記事では、障害者グループホームの入居を検討している方に向け、グループホームの一日の流れなど、役立つ情報を解説してきました。
本記事で解説した主な内容をまとめると、以下の通りです。
・障害者グループホームの基本情報として、グループホームの種類とサービス内容、グループホームで働くスタッフと生活ルール。
・障害者グループホームの一日の流れ(平日・休日)を詳しく解説。
・障害者グループホームの利用に向け、ぜひ知っておきたい情報(入居条件・申請手続きの流れなど)。
基本情報をよく理解してから、一日の流れを追っていくと、ホームで暮らす自分の姿が浮かんで来たのではないでしょうか。
グループホームで生活する自信が芽生えたなら、一つずつステップを踏みながら、希望条件に見合うグループホームへの入居を目指しましょう!