親の介護なんてまだ自分には関係ないと思っていませんか?
ところが、親の介護は何の前ぶれもなく突然始まります。
「ヤングケアラー」という言葉があるように、親の介護は大人に限った話ではありません。
親の介護に直面した場合、自身の仕事や時間、お金の問題が大きく立ちはだかります。
いざ自分が親を介護する立場に立った時、慌てることがないように介護について知っておくことは非常に大事です。
ここでは、介護保険制度や介護保険によって受けられるサービスについて解説します。
親の介護が必要となるきっかけ
親の介護を考えるきっかけに次の2つがあります。
- ケガや病気による入院
- 会話がかみ合わなくなる
それぞれについて解説します。
ケガや病気による入院
親の加齢に伴ってケガをしたり病気になったりするリスクが高くなります。
程度によっては入院を要する場合もあります。
回復期リハビリテーション病棟では、入院期間にリハビリを受けることが可能です。
しかし、以前の生活を取り戻すには退院後も継続してリハビリが必要です。
そんな場合でも介護サービスを利用すれば、自宅でリハビリを続けられます。
会話がかみ合わなくなる
会話がかみ合わなくなるのは、認知症の兆候です。
介護が必要となった原因の第1位は認知症というデータもあります。
(参考:厚生労働省「令和4年国民生活帰基礎調査の概況」23頁)
物忘れがひどくなったと感じたら、かかりつけ医に一度相談してみてください。
認知症の疑いありとの診断を受けたら、専門の医療機関で検査を受ける必要があります。
介護保険を利用することで、認知症の方向けの介護サービスも受けられます。
親の介護が必要になったら最初にすること
介護サービスを受けるとなった際、最初にすることは親を含めた家族間の話し合いです。
サービスを受ける上での計画を立てて、準備を整える必要があります。
実際の流れについて解説します。
家族会議を開く
まず、介護に関わる家族を集めて家族会議を開きます。
親が望む生活スタイルや仕事で不在の際の見守り、金銭管理について家族間で認識を合わせる必要があるためです。
キーパーソンを決める
次にキーパーソンを決めます。
キーパーソンといっても、一人で介護を担うわけではありません。
ケアマネージャーや担当部署からの連絡窓口となる家族のことです。
必要な介護サービスを決める
そして親に必要な介護サービスを決めます。
例えば平日だけ訪問介護を利用したいとか、この曜日はデイサービスを利用したいといった感じです。
ただし実際に受けられるサービスは、介護認定の結果によって上限が定められています。
必要に応じて介護休業を取得する
もっとも大事なことは、介護が必要だからといって仕事を辞めないことです。
ほとんどの会社では介護休業が認められています。
仕事と介護の両立は想像以上にハードで、仕事を辞めれば経済的な問題も生じます。
親の介護に専念するのであれば、介護休業を申請しましょう。
要介護認定申請の手続き
介護認定を受けるには次の流れで手続きを行います。
要介護度によって、受けられるサービスの限度額が決まります。
認定結果は申請から30日以内に通知されます。
認定結果が要支援の場合は地域包括支援センター、要介護度の場合は居宅支援事業所の介護支援専門員がケアプランを作成します。
ケアプランをもとに介護事業者が介護サービスの提供を行います。
介護保険が使えないサービス
利用できる介護サービスは介護保険制度で定められたサービスに限ります。
以下のサービスは介護保険外サービスと呼ばれ、全額自己負担となります。
- 同居する家族に対する生活援助
- 金銭管理や契約書記入の手伝い
- 家具の修繕や修理
- 大掃除
- 花木の水やりや庭の草むしり
- ペットの世話
etc.
まとめ
親の介護はいつ何時訪れるか分かりません。
自分の親が老後を安心して生活できるよう準備するのに早すぎることはありません。
仕事は介護休暇を活用しながら続け、キーパーソンだけに負担がかかり過ぎないよう家族が協力し合ってサポートする体制づくりが不可欠です。
親の介護は長期に及ぶ場合が多いでです。
仕事で家を空けなければならない時や気分転換を図りたい時など、介護サービスを上手に活用してください。